真夏の夢 A Midsummer Dream  椿山荘

会期
2009816日(日)‐830日(日)

会場
椿山荘(文京区関口、東京)

「風が渡る路」
会場
一階ロビー・テラス、茶室・庭園部分

キュレーター
麻生 和子、篠原 誠司

アーティスト
ダニエル・ローゼン、藤田 勇哉、久村 卓、岩井 優、加藤 広士、菊池 省吾、小林 雅子、駒井 翔平、沓名 美和、松澤 陽太、宮永 ゆみ、中田 ナオト、中澤 小智子、大垣 美穂子、大野 修平、嶋田 喜昭

「気づきの間」
会場
宴会場 ペガサス

キュレーター
篠原 誠司

アーティスト
赤摩 千穂、麻生 知子、江口 暢彌、石元 靖大、磯部 光太郎、伊東 明日香、前田 真治、野口 二朗、野口 満一月、瀬戸口 朗子、田中 千智、徳丸 鏡子、梅木 隆、海野 良太、山田啓貴

「庭の小道への旅」
会場
宴会場 ギャラクシー

キュレーター
ジュリア・バーンズ

アーティスト
秋好 恩、五十嵐 純、井上 裕起、石黒 元嗣、岩岡 純子、北川 純、黒沼 真由美、本山 ひろ子、野口 一将、岡 芳恵、小笹 彰子、さとうかよ、山本 麻矢、山崎 龍一


 目白の椿山荘を経営する藤田観光株式会社と御縁のある友人の北澤登さんが、椿山荘で展覧会をしないかとの話を持って来て下さいました。

 椿山荘は明治の元勲、山縣有朋の旧宅だった所で素晴らしい日本庭園は緑が深く、滝からの水は池に流れ込み、古い茶室や重要文化財の三重の塔もあります。庭の全てから、二つの大きな宴会場まで、団DANSに解放して頂き、夏の暑い最中でしたが、総勢45名が作品を展示致しました。はじめは14名でスタートした団DANSですが、この頃には参加メンバーが相当増えてきました。

 キュレーションは中落合でギャラリーをしていたジュリア・バーンズ(Julia Barns)さんが宴会場を一つと足利市立美術館の学芸員・篠原誠司さんが宴会場と庭園、それ以外の一部を私が担当しました。椿山荘は会社が経営している事もあり、打ち合わせ事項も多く、作家の一人北村直子さんが事務局専任で奮闘してくれました。会場が広く、しかもバラエティーに富んだ場所と言うことで、作家達の創造力は大いに刺激されたと思います。皆、とても生き生きとした面白い作品に挑戦してくれました。池の真ん中を又もジッパーで分けた作家、重要文化財の三重の塔に白玉の花を添えたり、暗くしたお茶室には夜空の星のように体中が光る老婆がいたり、宴会場には日本画の屏風、靴の鯉が泳ぎ、猫の花嫁行列、天井に浮いたクラゲ、大きなサラマンダー等々。そして平面作家も大作がいっぱい!実に楽しい展示になり、来場者数は真夏の暑さの中3,000人を越えました。

 ファンドレージングはディナーで行うことになりました。藤田観光株式会社が大変力を入れて下さり、ホテルという事もあって、二百数十名の参加者があり、お食事も凝った美味しいもので、イタリア料理のシェフがアーティステックな葉巻の煙がでるデザートを作ってくれました。皆さんびっくりしながらも、ディナーを楽しんで下さいました。

 エンターテイメントとして、次男の同級生でお家芸の津軽三味線を継いだ小山君の若手グループが素晴らしい演奏をしてくれました。あちこちから協力を頂き、ビンゴの賞品も中村奈央子さんが一生懸命集めてくれました。この様な大規模なファンドレージングが出来た事は本当に有り難い事でした。

 団DANSの大変な所は、毎回会場が異なり相手が変わるので、その度に臨機応変に対応しながら、展示の準備をせねばならない所です。後に海外に行くようになってからは、益々その対応に苦労いたしました。

 展覧会を重ねるごとに在住の外国人の方が積極的にアートにかかわり、応援してくれるという事に気付きました。初めの頃に日本にいたレナ・バウム(Lena Baume)さんはオープニングの度に御手製のオツマミを作って持って来てくれましたし、広報では、ルーシー・バーミンガム(Lucy Birmingham)さんやロレダーナ・ディ・ポルチア(Loredana di Porcia)さんが支援してくださり、場所の情報も持って来てくださったりしました。どうも、欧米の人達にとって、アートは日本人が考えるより、ずっと身近な興味の対象のような気がします。そして、アートに関わる事をとても楽しんでくれます。西洋文化の中ではアートが人の暮らしに近いのかも分かりません。日本人も有名な作品を見に美術館に並ぶだけでなく、もっと身近にアートを楽しめるようになると日本の作家達も励まされ、ギャラリーももっと活気が出てくるのではないかと思います。

 それ迄、団DANSは大学等を卒業してから制作を続けている作家を対象としており、作家が決まったギャラリーで展示をするようになったら団DANSは卒業という事にしていました。しかし、この辺りからちょっと事情が違う事に気が付きました。ギャラリーをよく見ると、私の理解とは違い、作家に展示のチャンスをあげても、専属作家は殆どいない様なギャラリーが幾つもありました。これは何だろう!私も考え方をもっと柔軟にしないとと思いました。ギャラリーがついたと思った作家でも生活に苦労しているのが分かったからです。

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