白と黒ってどう?
What about Black and White?

会期
2006年2月23日‐3月1日

会場
Gallery Concept 21(表参道、東京)

キュレーター
クリスティーヌ・ヴァンドルディ・オザノ

アーティスト
秋廣 誠、海老原 靖、江口 暢彌、笛田 亜希、藤田 勇哉、井上 裕起、神宮 妙子、北村 直子、黒沼 真由実、諸熊 仁志、中田 ナオト、野口 一将、大出 翔子、土屋 貴哉、保井 智貴


 青山のギャラリー・コンセプト21を経営する大野牧子さんはご親切に団DANSに1週間ギャラリーを提供して下さいました。クリスティーヌと相談し、白と黒は東洋の水墨画、西洋のドローイングなどの基礎になる二色という事で、白と黒をテーマにして作品を展示しました。二回目もまだまだ暗中模索でしたが団DANSに参加したいと言う人は積極的に受け入れるようにしました。会場には必ず誰か作家がいるように当番制にしました。大野さんのお力添えもあり、オープニングは賑やかで、作品もサイレントオークションで良く売れて好評でした。比較的小規模な展示でしたが、作品はバランス良く展示されて300名余りの来場者がありました。現代アートは分かり難いと敬遠気味であった人も、見るとなかなか面白い!と言って下さるようになり励まされました。私自身も初めは現代アートとどう接してよいか分からなかったので、敬遠気味な方の気持ちがよく分かりました。だんだんと作品を見ていく中に、コンセプトが分かって来るものもあり成程…と、それまでのアートとは又、違う別の面白さに気付きました。

 作家の表現したい気持ちがストレートにカンバスにぶつけられていたり、社会問題や環境問題について、時にはうんざりするような、どろどろした人間社会の一面を訴える作品があったり、インスタレーション、写真、映像、彫刻等々あらゆるメディアを駆使して表現する現代アートの範囲は広大です。素晴らしい科学的なテクニックを使って、人が今まで表現できなかった事をあっさりと表現する作家もいます。現代アートの面白さは意外性にもあります。今までにないスケールで、それまでの美術のジャンルには収まらない現代アートはそれだけに刺激的です。

 毎年、多くの国内外のアートフェアーを見たり、美術館やギャラリーに行き、かなりの量の作品を見て来た今でも、勉強不足もありますが、分からない作品はいっぱい有ります。又、何となく自分にしっくり来る作品や面白い!と感じられる作品も多くあります。

 若手作家を支援していると言うと、しばしば、どの作家の作品が将来値上がりするか?と言う質問を受けます。将来の投資を考えて作品を買う人は既に投資の対象となる価値の出ている作家を買う人が多いと思います。しかし、中には若い作家の将来性に眼を付ける人もいます。私はいつも「その作品が本当に好きなら、是非お買い下さい。でも、値が上がる事を期待して買うのなら、買わない方が良いかも知れませんよ。」と答えます。本当に好きで買った作品なら、値が将来上がらなくても、きっと後悔はしません。日本だけでも毎年夥しい数の芸術家の卵が生まれます。その中で値が出る作家の確率は非常に低いです。又、作品の値段は陽炎のようなもので、時代によって作品の価値は変化しますし、永遠に高い値が続く作家はまず、天文学的な確率でしか存在しません。一時的に値がついても、それを維持できる作家は限られています。これには作家とギャラリーとの関わりもあります。今はマーケティングの分析も盛んですから、アートマーケットでは投資家やオークションハウス、世界的な大手のギャラリー等の人達はいろいろな仕掛けをして、アート市場を盛り上げている様に思えます。作家の運不運もありますが、亡くなってから値の出る人、一方では亡くなったらアッとの間に値が崩れる人もいます。その反面、オールドマスター達の作品は何百年もの間、その時代のコレクターが大切にして何代も経て今まで伝わったものですから、それだけの重みがあるというものです。アートの楽しみ方はいろいろあります。

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