Dandans, a collective of emerging Japanese artists

会期
2013年10月17日(木)‐11月7日(月)

会場
Browse & Darby(ロンドン、イギリス)

アーティスト
江口 暢彌、藤井 志帆、藤田 勇哉、井上 新之助、磯部 光太郎、加藤 広士、木下 千春、小林 雅子、村山 之都、滑川 由夏、野口 一将、野口 満一月、野依 幸治、仙洞田 文彦、四宮 優、田中 千智、矢部 裕輔、山田 啓貴


 日本の若者は私達世代に比べて、海外に興味が薄く、日本に引きこもりがちと言われています。海外留学生も中国、韓国に比べ激減しています。確かに作家達の中で海外のレジデンス等に行きたい人は少ないと見受けました。このグローバル化の進む世界をもっと、肌で感じてほしい!皆を海外に連れ出したい!と思いました。

 ワシントンの展覧会で手応えを感じた私は、個人的により縁の深いヨーロッパで是非、団DANSの展示をしたいと思いました。イギリスに行った時にその話をすると、友人テッサ・フィップス(Tessa Phipps)さんからロンドンのCork StreetというNew Bond Streetと平行するギャラリー街で、父親の代からギャラリー ブロウズ アンド ダービー(Browse and Darby)を営むJoshua Darbyを紹介されました。日本の若手作家の展覧会をしないか?と言う話にJoshuaは快諾してくれました。ロンドンでは秋に定例のAsian WeekとFreezeという現代アートのフェアーがあるから団DANSの展覧会はその時期にしようと、時期を10月半ばから11月初めに設定しました。

 ワシントンではTomodachi Initiativeのお蔭で作品搬送はすべてフェデックスが支援して下さいましたが、今回はそれが出来ません。皆で考えて、平面作品で巻けるものは巻いて手持ちで飛行機に乗り、現地で木枠に貼る、小品を幾つか組み合わせて一つの大きい作品に出来るような作品を考える…等々。皆工夫をして、ロンドンに乗り込みました。

 作家達はネットで宿泊場所を上手に探し、短期間貸のフラットを数名でシェアし、段々と海外に慣れて行きました。設置や制作の仕上げに必要な工具もネットで探すと何処にあるか分かります。実に便利な世界になったものです。

 展示された作品を見て、Joshuaもギャラリーの人達も大満足でした。地下、一階、二階と三つのフロアーを使いました。地下は割り合いとコンテンポラリーな作品、一階は通りの面した窓には日本画の作品を置いて比較的日本色を出し、二階は屏風や油絵の大きめの作品が展示されました。全てギャラリーの人が設置場所を決めました。

 オープニングには多くの友人の招待状を出したかいがあって、何年もお会いしていない懐かしい友人、知人大勢集まって下さり、大賑わいとなりました。あっとの間に多くの作品が売れたのには私も少々びっくり致しました。売り上げの50%をJoshuaに支払いました。作家達は展覧会が落ちつくと、ロンドンの美術館等を精力的に廻っていました。

 ロンドンの展示では色々な機関、人々にお世話になり、皆さん展覧会を宣伝して下さいました。Asia Houseの館長をされている、前大英博物館館長のsir John Boydは以前日本大使も務めた方で、大変親切にして頂き、カタログにも文章を寄せて下さいました。ロンドンのJapan Societyの館長だったSir John Purvisと夫人のPhillidaも大変助けて下さって、お蔭でアーティストトークもジャパン・ソサエティーの支援を頂いて、催す事ができました。

 ロンドンの打ち上げは中華街のレストランに行きました。中華料理は大勢で食卓を囲むので、話もしやすく最適です。気になっていた、次のベルリンの展示の事を皆で何度も話し合いました。(私はロンドンの後でベルリンに行き、会場となる場所2ヶ所で打ち合わせをし、又数名の作家もベルリンに来て様子を見てくれました。)

 今回、日本から作品の搬送をお願いしたのはHubnetと言う会社で、我々の事情を理解してくれた担当者、古澤さんが大変協力して下さり、往復ともかなり安く上げる事が出来ました。細かい面倒なペーパー作業を作家が忍耐強く片付けてくれたのには頭が下がりました。勿論、作品に保険は付けず、行きは期限があるので必着条件、返りは期限を付けずという交渉でした。行きは正確にギャラリーに作品が届き、良かったのですが、帰りは税関で時間がかかり、ハブネットさんにご迷惑をかけてしまいました。海外展示の難しさ、決して最後まで気を抜けない事を実感しました。

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